複合災害時の自治体による避難情報発令の適切な方法について解説します!
「複合災害」とは?
今回は「複合災害」における自治体による避難情報等の発令方法について説明します。
「複合災害」とは、複数の現象がほぼ同時に発生するか、短期間で立て続けに発生することによって起こる災害を指します。
「複合災害」の具体例:令和5年梅雨期の大雨
具体例として「令和5年梅雨期の大雨」を挙げて「複合災害」を説明します。
この年の6月1日から6月3日にかけて、西日本から東日本の太平洋側の地域では、梅雨前線が停滞している中、台風第2号周辺の非常に暖かく湿った空気が前線に流れ込んだため、前線の活動が活発化し、線状降水帯が発生しました。その結果、記録的な豪雨となり、これが「複合災害」に該当します。
自治体の避難情報発令の視点
この「複合災害」に対する避難行動を促す情報である避難情報(警戒レベル)を発令する際の自治体の視点について考えてみましょう。
例えば、大雨による避難情報(警戒レベル)を「〇〇市××町△△2丁目」や「〇〇市××町□□学区」といった特定の地域に対して発令している状況を想定します。この状況で、さらに台風という別の現象が発生し、大雨が継続する場合には、発令された避難情報(警戒レベル)を継承し、その地域への避難情報(警戒レベル)の発令が解除されるまで継続することが求められます。
避難情報の輻輳発信を回避する方法
では、避難情報の輻輳発信を回避するにはどうすればよいのでしょうか。
先程の例を使うと、「梅雨前線による大雨」の災害でA地区では「高齢者等避難」が発令されている状態で、災害名称を「梅雨前線による大雨および台風第2号による大雨」に変更した上で、避難情報の発令を継続すればよいのです。そうすることで、同一地域で複数の避難情報が発令されることがなくなります。
また、各テレビ局や各ラジオ局、インターネットを使ったサービス事業者などメディアの観点で考えると、特に大規模災害時では、同一自治体から複数の「災害名称」に紐づく避難情報(警戒レベル)が発信されると、情報の取り扱いに支障をきたし、情報の輻輳による確認作業等で時間を要することで、迅速な情報伝達を妨げることにも繋がるため、「複合災害」においても「一つの電文」を使って時間の経過と共に変化する発令内容(災害属性や対象エリアなど)を発令が解除されるまで更新し続けるという自治体からの統一された発令が求められています。
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