
貸切バスは1日何キロまで走れる?運行可能距離の目安と法令上の注意点を解説

はじめに
貸切バスの1日の走行距離は、「何kmまで」と距離だけで決められるものではありません。
ワンマンかツーマンか、昼間か夜間かによって交替運転者の配置基準が異なり、運転時間や拘束時間、休息期間もあわせて確認する必要があります。
特に注意したいのが、昼間500km・夜間400kmという数値です。
これは一律の走行上限ではなく、一運行の実車距離をもとに交替運転者の配置を判断するための基準です。
本記事では、貸切バスの走行距離に関する基準と改善基準告示のポイント、長距離運行で確認すべき項目を解説します。
あわせて、見積もり・配車・運行・請求までの情報を一元管理できる「楽々道中」が、日々の運行管理をどのように支援するかも紹介します。
実際の運行判断では、最新の法令や公式情報もあわせてご確認ください。
目次[非表示]
- 1.はじめに
- 2.貸切バスは1日に何キロまで走れるのか
- 3.貸切バスの1日の走行距離に関わる主な法令・基準
- 3.1.改善基準告示では運転時間・拘束時間・休息期間が定められている
- 3.2.1日の拘束時間は原則13時間以内、延長しても15時間まで
- 3.3.2日平均1日の運転時間は9時間以内
- 3.4.4週平均1週の運転時間も管理する必要がある
- 3.5.連続運転時間は4時間以内で、30分以上の中断が必要
- 4.貸切バスの長距離運行で注意すべきポイント
- 5.貸切バスの運行管理なら楽々道中
- 5.1.予約から配車・運行・請求まで一元管理できる
- 5.2.「行程表クラウド」との連携で大型バスのルート作成を効率化できる
- 5.3.デジタコ連携や法令対応に必要な情報管理を支援できる
- 5.4.クラウド型で法改正・規則変更にも対応しやすい
- 5.5.「楽々道中」の詳細やお問い合わせはこちら
- 5.6.「楽々道中」無料トライアル申込フォームはこちら
- 6.まとめ
- 7.関連する記事・お役立ちコラムのご紹介
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貸切バスは1日に何キロまで走れるのか

貸切バスの1日の走行距離は、距離だけで一律に決まりません。
ワンマン運行では昼間・夜間ごとに交替運転者の配置基準があり、ツーマン運行でも運転時間や拘束時間の基準を守る必要があります。
まずは、距離基準が示す意味と運行可否の判断方法を確認しましょう。
ワンマン運行は昼間500km・夜間400kmが目安
交替運転者が同乗しないワンマン運行では、交替運転者の配置基準として、一運行の実車距離と1日の合計実車距離が次のように定められています。
表の数値は「それ以上走れない上限」ではなく、交替運転者を配置するかどうかの基準です。
基準を超えて引き続き運行する場合は、あらかじめ交替運転者を配置します。
対象となるのは実車距離です。
営業所から乗車地まで、降車地から営業所までの回送距離は含まれないため、実際の総走行距離は表の数値より長くなることがあります。
また、500km・400kmは一運行の基準であり、1日の合計実車距離には600kmという別の基準があります。
夜間ワンマン運行は、最初の旅客の乗車時刻または最後の旅客の降車時刻が午前2時から4時までにかかるかどうかで判断します。
ツーマン運行でも無制限に走れるわけではない
交替運転者を配置すれば、ワンマン運行に対する距離基準は適用されません。
ただし、2名体制でも各運転者に改善基準告示が適用されるため、連続運転時間や2日平均1日の運転時間を守る必要があります。
2人乗務で認められる主な特例は、一定の休息設備を備えた場合の拘束時間の延長と休息期間の短縮です。
身体を伸ばして休息できるリクライニング式の専用座席を1席以上確保した場合は拘束時間19時間・休息期間5時間まで、車両内ベッドなどを備えた場合は拘束時間20時間・休息期間4時間までとされています。
走行距離だけでなく運転時間と拘束時間で判断する
同じ500kmでも、高速道路中心の行程と一般道中心の行程では所要時間が異なります。
観光地での待機が長ければ、走行距離が短くても拘束時間は伸びるため、距離だけでは運行可否を判断できません。
実車距離・運転時間・拘束時間では、数える範囲が次のように異なります。
交替運転者の配置基準となる実車距離には回送を含みませんが、運転時間と拘束時間には回送が含まれます。
そのため、実車距離が基準内でも、遠方への回送や点呼・点検、待機によって時間の基準を超えることがあります。
参考:国土交通省|旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び運用について(高速乗合バス及び貸切バスの交替運転者の配置基準を含む)
参考:厚生労働省|バス運転者の労働時間等の改善基準のポイント(令和6年4月~適用)
貸切バスの1日の走行距離に関わる主な法令・基準
貸切バスの走行距離を判断する際は、交替運転者の配置基準に加え、改善基準告示で定められた拘束時間や運転時間も確認する必要があります。
ここでは、2024年4月1日から適用されている主な基準を、行程作成との関係が分かるように解説します。
改善基準告示では運転時間・拘束時間・休息期間が定められている
改善基準告示は、正式には「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」といい、バス運転者の拘束時間や休息期間、運転時間などを定めたものです。
運転業務の特性を踏まえ、労働時間を適切に管理するための基準として運用されています。
告示は2022年12月に改正され、2024年4月1日から改正後の基準が適用されています。
改正前の数値を掲載した資料も残っているため、社内マニュアルや行程作成のルールが現行基準に合っているか確認が必要です。
1日の拘束時間は原則13時間以内、延長しても15時間まで
1日の拘束時間は原則13時間以内で、延長する場合でも15時間が上限です。
13時間を超える運行では、14時間を超える回数をできるだけ少なくし、1週につき3回までを目安に管理します。
1日とは暦日ではなく、始業時刻から起算した24時間です。
翌日の始業が早い場合は、その一部が前日から始まる1日の拘束時間に重なることがあります。
拘束時間には、運転時間のほか、点呼や日常点検、回送、待機、休憩も含まれます。走行距離が短くても、集合場所までの回送や観光地での待機が長ければ基準を超えるおそれがあるため、行程全体で算出しなければなりません。
2日平均1日の運転時間は9時間以内
運転時間は、2日を平均して1日あたり9時間以内です。特定日と前日の平均、特定日と翌日の平均両方が9時間を超えた場合に基準超過となり、どちらか一方だけが9時間を超えている場合は直ちに違反とはなりません。
そのため、日帰り運行であっても当日の行程だけでは判断できません。
前日や翌日に別の長距離運行が入っていないかを確認し、乗務員ごとの勤務状況を踏まえて配車する必要があります。
4週平均1週の運転時間も管理する必要がある
運転時間には、4週間を平均した1週間あたり40時間以内という基準もあります。
特定の日を起算日として4週ごとに区切り、期間内の総運転時間から平均を算出します。
貸切バス等乗務者は、労使協定を結ぶことで、52週のうち16週まで4週平均1週の運転時間を44時間に延長が可能です。
繁忙期に長距離案件が重なると、各行程が基準内でも、4週平均や年間の総運転時間を超えるおそれがあります。
日々の運行実績を記録し、乗務員ごとに累計を確認できる状態にしておくことが欠かせません。
連続運転時間は4時間以内で、30分以上の中断が必要
連続運転時間は4時間以内です。運転開始後4時間以内、または4時間を経過した直後に、合計30分以上の運転中断を確保しなければなりません。
運転中断は、1回につき連続10分以上であれば分割して取得できます。
一方、10分未満の停車は中断として数えられないため、短時間の停車を合計して30分になっても基準を満たしません。
さらに、高速バスや貸切バスが高速道路等の実車運行区間を走行する場合は、高速道路等での連続運転をおおむね2時間までとするよう努める必要があります。
行程表には、10分以上停車できる休憩場所を具体的に組み込み、渋滞時にも休憩を確保できる余裕を持たせましょう。
参考:厚生労働省|バス運転者の労働時間等の改善基準のポイント(令和6年4月~適用)
貸切バスの長距離運行で注意すべきポイント
長距離運行では、距離の基準を満たしていても、夜間区分や回送、渋滞などによって運転時間・拘束時間を超えるおそれがあります。
ここでは、受注前に確認すべきポイントを4つに分けて解説します。
昼間運行か夜間運行かを確認する
長距離案件では、まず昼間運行か夜間運行かを確認します。
夜間ワンマン運行の一運行の実車距離は400kmで、昼間の500kmより基準が厳しく設定されています。
夜間ワンマン運行では、実車運行区間の連続運転時間を運行指示書上おおむね2時間までとし、おおむね2時間ごとに連続20分以上の休憩を確保します。
一運行の実車距離が400km以下なら、休憩は連続15分以上です。
連続乗務回数は原則4回以内、400kmを超える場合は2回以内とされています。
条件を満たせない場合は、交替運転者を配置する前提で見積もる必要があります。
繁忙期など乗務員や休息期間の確保が難しい時期は、受注可否や料金だけでなく、出発時刻や代替手段の提案も早めに検討しましょう。
回送・点呼・点検・待機時間も含めて行程を組む
交替運転者の配置基準となる実車距離には回送が含まれませんが、拘束時間には営業所から乗車地までの回送や帰庫に加え、出庫前後の点呼、日常点検、待機時間も含まれます。
利用者の移動区間が短くても、集合場所が遠い、観光地での待機が長い、乗降に時間がかかるといった条件が重なると、拘束時間は長くなります。
見積もりや行程作成では、実車距離だけでなく、始業から終業までの所要時間を算出してください。
また、一定の実車距離を超えるワンマン運行では、体調報告やデジタル式運行記録計等による管理が必要です。
主な条件は次のとおりです。
長距離になるほど、運行中の確認や記録も増えます。
走行距離と拘束時間を別々に確認したうえで、必要な報告・記録業務まで行程と運行体制に組み込みましょう。
参考:国土交通省|旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び運用について(高速乗合バス及び貸切バスの交替運転者の配置基準を含む)
渋滞・休憩・乗降時間を見込んだ余裕ある計画にする
観光シーズンや土日祝日、イベント開催日、積雪地域では、通常より移動に時間がかかります。
サービスエリアや観光地の駐車場が混雑すると、予定した休憩場所に入れないこともあるため、複数の休憩候補と時間の余裕を確保しておきましょう。
改善基準告示には、災害や事故など通常予期できない事象による遅延時間を、拘束時間や運転時間、連続運転時間から除外できる例外があります。
ただし、平常時の交通状況から予測できる渋滞は対象外です。
行楽シーズンの慢性的な渋滞を例外として扱うことはできません。
例外を適用する際も、運転日報の記録に加えて客観的な資料が必要です。
法令上の上限ぎりぎりではなく、通常想定できる遅延をあらかじめ織り込んだ行程にしてください。
参考:厚生労働省|バス運転者 労働時間等の改善のための基準 学習テキスト(令和6年4月改正改善基準告示版)
長距離移動では現地手配や代替交通も検討する
東京から福岡へ移動するような極端な長距離では、貸切バスだけで完結させるより、飛行機や新幹線と現地の貸切バスを組み合わせるほうが、移動時間や費用、乗客の負担を抑えられる場合があります。
実車距離や回送を含む運転時間、拘束時間を数値で示し、難しい理由を説明しましょう。
そのうえで、出発時刻の変更や立ち寄り先の削減、交替運転者の配置、現地手配への切り替えなどを提案すれば、安全性を確保しながら受注機会を残せます。
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まとめ
貸切バスの1日の走行距離には、すべての運行に共通する一律の上限はありません。
ワンマン運行では、一運行の実車距離が昼間500km、夜間400km、1日の合計実車距離が600kmという基準があり、これを超えて運行する場合は交替運転者の配置が必要です。
ツーマン運行でも、運転時間や拘束時間の基準がなくなるわけではありません。
また、交替運転者の配置基準となる実車距離には回送を含みませんが、運転時間・拘束時間には回送や点呼、点検、待機も含まれます。
見積もりや行程作成では、距離だけでなく、乗務員の前後の勤務状況や休憩、渋滞の見込みまで確認することが大切です。
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