
バス運転士不足の原因とは?影響と事業者ができる対策を解説
はじめに
バス運転士不足は、採用部門だけでなく、バス事業全体に関わる課題です。
必要な運転士を確保できなければ、路線バスの減便や廃止、貸切バスの受注制限につながりかねません。
さらに、少ない人員で配車や勤務を調整する運行管理者・事務担当者の負担も増えます。
本記事では、公的統計をもとにバス運転士不足の現状と影響を解説します。
採用条件の見直しや免許取得支援、離職防止に加え、貸切バス向けクラウド型予約運行管理システム「楽々道中」を活用した業務効率化についても紹介します。

目次[非表示]
バス運転士不足の現状

バス運転士不足の背景には、求人への応募が集まらないという採用面の問題だけでなく、大型第二種免許保有者の減少や運転士の高齢化があります。
さらに、拘束時間や不規則な勤務に対する不安も、若い世代の参入を妨げる要因です。
そこでここでは、公的な統計やバス事業者への調査結果をもとに、バス運転士不足の現状を3つの角度から解説します。
第二種大型免許保有者が減少している
バス運転士として乗務するには、原則として大型第二種免許が必要です。
そのため、大型第二種免許の保有者数が減少すれば、バス運転士として働ける人材の確保も難しくなります。
警察庁の運転免許統計によると、大型第二種免許の保有者数は令和7年末時点で749,150人でした。
令和3年末の824,732人と比べると、4年間で約7万5千人減少しています。令和6年末からの1年間でも2.2%減っており、減少傾向が続いている状況です。
また、令和7年中に大型第二種免許試験を受験した人は15,605人で、そのうち合格者は10,475人でした。
指定自動車教習所の大型二種卒業者数は9,727人となっており、令和4年の5,705人から増加しています。
しかし、新たに免許を取得する人がいる一方で、保有者数全体の減少には歯止めがかかっていません。
運転士の高齢化と若手不足が進んでいる
大型第二種免許保有者の総数が減少していることに加え、年齢構成にも大きな偏りがあります。
令和7年末時点における、大型第二種免許保有者の年齢層別の人数と構成比は次のとおりです。
60歳以上が全体の約6割を占める一方で、40歳未満は約4%にとどまっています。
今後、高齢を理由に乗務を離れる人が増えれば、免許保有者や現役運転士の不足がさらに進むおそれがあるでしょう。
新たな人材を採用するだけでなく、若い世代が応募しやすく、長く働き続けられる環境を整えることが求められています。
待遇や働き方に対するイメージも影響している
バス運転士への応募が集まりにくい背景には、長い拘束時間や不規則な勤務に対する不安もあります。
また、高い運転技術が求められるだけでなく、安全管理や乗客への接客も必要です。
事故を起こせないという責任の重さも、求職者が応募をためらう理由の一つになっています。
2024年4月からは、バス運転者の労働時間などを定める改善基準告示が改正されました。
運転士の健康を守り、働き方を改善するために必要な変更ですが、同じ運行本数を維持するには、従来より多くの運転士が必要になる場合があります。
改正後は、1日の拘束時間が原則13時間以内、延長する場合でも上限15時間とされました。
休息期間は継続11時間以上を基本とし、継続9時間を下回らないことが求められます。
また、1か月の拘束時間は原則281時間以内、連続運転時間は4時間以内です。
参考:国土交通省|バス運転者の労働時間等の改善基準のポイント(令和6年4月~適用)
バス運転士不足がもたらす影響
バス運転士不足の影響は、路線バスの減便や廃止にとどまりません。
貸切バスや観光バスでは受注の制限につながり、社内では配車・運行管理の複雑化や法令対応の負担増加を招きます。
そこでここでは、利用者とバス事業者に生じる影響を4つに分けて解説します。
路線バスの減便・廃止が進む
必要な人数の運転士を確保できなければ、従来の運行本数や路線を維持することが難しくなります。
関東運輸局が管内の市区町村を対象に実施した調査では、路線バスが運行している自治体の65.6%が、2021年4月から2024年12月までに減便または廃止された系統があると回答しました。
減便・廃止の理由にも変化が見られます。新型コロナウイルス感染症の5類移行以前は「利用者の減少」が7~8割を占めていました。
一方、「運転者不足」を理由とする割合は、2023年4月から2024年3月までが63.9%、2024年4月以降は85.4%に上昇しています。
利用者がいても、運行に必要な人員を確保できず減便せざるを得ないケースが増えていることが分かります。
減便や廃止は、過疎地だけの問題ではありません。
同調査では、減便・廃止された系統の沿線地域のうち、人口集中地区が57.9%で最も多くなっています。
バスの運行縮小は、通勤や通学、通院など、地域住民の日常生活に直接影響する問題です。
参考:国土交通省 関東運輸局|関東運輸局管内におけるバス運転者不足問題を踏まえた地域公共交通の確保維持に関する調査(令和7年3月)
貸切バス・観光バスの受注機会を逃しやすくなる
貸切バスや観光バスでは、使用できる車両があっても、運転士を確保できなければ依頼を受けられません。
学校行事や団体旅行、企業の送迎などの需要があっても、運行人員が不足していれば受注を制限する必要があります。
日本バス協会が国土交通省の部会に提出した資料によると、バス運転者数は2017年の約13万3千人から、2021年には約11万6千人まで減少しました。
さらに、2030年には約9万3千人まで減少すると推計されています。
また、繁忙期や急な行程変更が重なると、限られた運転士をどの案件に割り当てるかという配車調整が複雑になります。
確認や計画変更に時間がかかれば、見積もりの回答や顧客への連絡が遅れる可能性もあります。
参考:公益社団法人日本バス協会|国土幹線道路部会 ヒアリング資料(令和5年10月5日・国土交通省掲載)
運行管理者や事務担当者の負担が増える
運転士不足は、運転士本人だけでなく、運行を支える担当者の業務にも影響します。
少ない人員で運行計画を組むほど、乗務割の作成や配車調整、運行可否の判断が複雑になり、運行管理者や事務担当者の負担が増えます。
紙台帳やExcelで予約・配車情報を個別に管理している場合、変更履歴や最新の情報が担当者の手元にしか残りません。
結果として、情報共有や引き継ぎに時間がかかり、特定の担当者へ確認が集中する原因になります。
安全管理・法令対応の難易度が上がる
人員に余裕がないほど、法令に沿った運行計画を組むための確認作業が複雑になります。
乗務割を作成する際には、拘束時間や休息期間、連続運転時間が基準を満たしているかを確認しなければなりません。
日々の運行でも、点呼の記録や運行指示書の作成・保存が必要です。
これらの確認を正確に行うには、運転士ごとの勤務状況と運行予定を常に把握できる体制が必要です。
余裕のないシフトでは、一人の欠勤や行程変更によって乗務割の組み直しが発生し、そのたびに労働時間などの基準を確認し直さなければなりません。
参考:国土交通省|バス運転者の労働時間等の改善基準のポイント(令和6年4月~適用)
バス運転士不足への主な対策
バス運転士不足を改善するには、採用を増やすだけでなく、未経験者を育成する仕組みや既存の運転士が働き続けられる環境を整える必要があります。
さらに、採用には時間がかかるため、現在の人員で業務を回すための効率化も欠かせません。
ここでは、バス事業者が取り組める4つの対策を解説します。
採用条件や採用導線を見直す
採用活動では、給与額だけでなく、勤務時間や休日の取り方、研修の流れ、免許取得支援の内容まで具体的に示すことが重要です。
実際の勤務例や入社後に独り立ちするまでの流れが分かれば、拘束時間や不規則な勤務に対する応募者の不安を減らせます。
ただし、募集を始めてから採用、免許取得、研修を経て単独で乗務できるようになるまでには時間がかかります。
採用施策だけに頼らず、既存の運転士や運行管理者の負担を減らす取り組みも同時に進めることが大切です。
免許取得支援や教育体制を整える
人材確保のハードルを下げ、未経験者や普通免許保有者を呼び込むには、大型第二種免許の取得費用を全額または一部補助したり、教習期間中の給与を保障したりする免許取得支援制度の導入が効果的です。
取得にかかる経済的な不安や心理的な負担を会社側が取り除くことで、バス運転士への転職を検討する層を大きく広げることができます。
また、免許を取得した後の受け入れ体制も、定着率を左右する重要な要素です。
単なる座学だけでなく、経験豊富な先輩運転士による同乗研修や、安全意識を醸成する実技指導など、現場レベルでの教育を整備しましょう。
離職防止のために働きやすい運行体制を作る
不規則になりがちな勤務シフトを可視化し、特定の人に負担が偏らない公平な乗務割を実現することも重要です。
勤務実績と今後の運行予定を一元的に把握できる体制があれば、拘束時間や休息期間の管理をより正確に行えます。
「今のシフトは負担が大きい」「休みがとりにくい」といった現場の不満は、日々の運行管理の些細な歪みから蓄積されるものです。
透明性の高い運行体制を構築することは、運転士のモチベーション維持と、長期的な人材確保の両面で非常に重要な取り組みと言えます。
限られた人員で回すために業務効率化を進める
バスの運転そのものをすぐに省人化することは難しいため、運転士以外が担う予約や配車、運行管理などの業務を効率化することも必要です。
予約・配車・運行・請求・未収といった業務を別々の台帳やファイルで管理すると、同じ情報の転記や照合作業が繰り返し発生します。
情報を一元管理し、担当者間で最新の状況を共有できる仕組みを整えれば、事務作業や確認にかかる時間を減らし、限られた人員を運行管理や顧客対応へ振り向けやすくなります。
バス運転士不足による現場負担を減らすなら楽々道中

採用や免許取得支援を進めても、運転士が単独で乗務できるようになるまでには時間がかかります。
その間も、予約受付や配車、行程作成、帳票作成などの業務は継続します。
貸切バス事業者向けクラウド型予約運行管理システム「楽々道中」は、こうした周辺業務を一元化し、限られた人員で運行を支えるためのサービスです。
ここでは、人手不足による現場負担の軽減に役立つ主な機能を紹介します。
予約から配車・運行・請求まで一元管理できる
楽々道中では、貸切バスの予約受付から配車、運行、請求、未収金管理までを一つのシステム上で管理できます。
インターネット環境があれば利用できるクラウド型サービスのため、自社で専用サーバーを用意する必要はありません。
予約や配車の状況を共通の画面で確認できれば、担当者の不在時にも必要な情報を探しやすくなります。
情報が個人の台帳やファイルに分散する状態を避けることで、引き継ぎや問い合わせ対応にかかる時間の削減につながります。
転記ミスや確認作業を減らせる
予約時に登録した顧客情報や行程、料金などを後工程へ引き継げるため、配車表や請求データへ同じ内容を繰り返し入力する作業を減らせます。
入力箇所が少なくなれば、転記漏れや数字の入力間違いを防ぐうえでも役立ちます。
また、行程や車両、乗務員の変更内容をシステム上で共有できるため、古い情報が一部の帳票やファイルに残るリスクを抑えられます。
複数の担当者が同じ最新情報を確認できれば、照合や確認連絡にかかる時間の短縮が可能です。
NAVITIME連携で行程作成や見積もり業務を効率化できる
楽々道中は、ナビタイムジャパンの「行程表クラウド by NAVITIME」と連携できます。
「行程表クラウドbyNAVITIME」を使えば、大型車が通行可能な最適ルートをもとに、走行距離・所要時間・高速料金などを算出した精度の高い行程表を簡単に作成できます。
さらに「楽々道中」と連携させれば、作成したデータがそのまま管理データに紐づくため、二重入力なしで一元管理が可能です
デジタコ連携や法令対応に必要な情報管理を支援できる
楽々道中では、確定した予約情報をもとに乗務員を割り付け、始業・終業時刻や拘束時間、休憩、時間外労働の状況を確認できます。
点呼簿や運行指示書など、運行に必要な帳票を出力する機能も備えています。
デジタルタコグラフ、経理システム、給与管理システムとの連携についても相談可能です。
システムの導入だけで法令への適合が保証されるわけではありませんが、勤務状況や必要書類を確認しやすい状態を整えることで、運行管理者の記録・確認作業を支援できます。
人員に余裕がない状況でも、安全管理に必要な情報を共有しやすくなる点がメリットです。
クラウド型で導入後の運用を見直しやすい
楽々道中はクラウド型サービスのため、法改正や制度変更にも自動アップデートで柔軟に対応します。
自社で使用しているExcelや紙の様式を担当者が個別に修正する場合と比べ、更新にかかる負担を抑えやすくなるでしょう。
導入時は、すべての業務を一度に切り替えるのではなく、予約管理や配車など負担の大きい工程から段階的に移行する方法もあります。
無料トライアルを利用すれば、画面の使い方や現在の業務フローとの相性を確認したうえで導入を検討できます。
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まとめ
バス運転士不足の背景には、大型第二種免許保有者の減少や年齢構成の偏り、拘束時間・不規則な勤務への不安があります。
2024年4月の改善基準告示改正により、運転士の健康を守りながら従来の運行量を維持するには、より適切な人員配置と勤務管理が求められています。
運転士を確保できないと、路線バスの減便・廃止や貸切バスの受注制限につながります。
少ない人員で乗務割や配車を組む運行管理者・事務担当者の負担も増え、法令に沿った勤務時間の確認や帳票管理も複雑になります。
対策としては、採用条件の明示、免許取得支援、教育体制の整備、働きやすい運行体制づくりを並行して進めることが重要です。
予約・配車・運行・請求・未収などを一元管理できる「楽々道中」を活用すれば、転記や確認にかかる作業を減らし、限られた人員を運行管理や顧客対応へ振り向けやすくなります。
まずはお気軽にご相談ください。


