「Lアラート」ってなに?仕組みを解説します!


目次[非表示]

  1. 1.はじめに
  2. 2.災害情報の伝達
  3. 3.「Lアラート」の存在意義
  4. 4.「Lアラート」への情報配信と情報受信のシステムについて
    1. 4.1.「Lアラート」への情報の配信について
    2. 4.2.「Lアラート」からの情報受信と情報利用の仕方について
    3. 4.3.「Lアラート」への情報の配信や「Lアラート」からの情報受信のシステムはどうやるの?
  5. 5.最後に


はじめに

毎年6月頃から10月頃にかけて、梅雨による集中豪雨や台風等洪水が起きやすい時期には、「○○市において、警戒レベル4(避難指示)が発令されました」というニュースを耳にすることがありませんか?

このような避難情報(警戒レベル)は、災害対策基本法に基づき、自治体(市町村長)が発令することになっています。
 
それでは、避難情報(警戒レベル)が発令されるまでの流れを簡単に説明します。
 
まず、災害発生のおそれがある場合、気象庁などが「警報」や「土砂災害警戒情報」などの情報を、基本的には市区町村単位や河川ごとのやや広めの情報として発表します。
次に、自治体の防災担当者は、気象庁などが発表する「防災気象情報」をベースとして、実際にどの地区において災害の危険性が差し迫っているのかを判断し、「〇〇市××町△△2丁目」や「〇〇市××町□□学区」のように地域を絞り込んで、避難情報(警戒レベル)を発令します。
災害発生が広域に及ぶと判断した場合、「市内全域」という形で出されることもあります。


災害情報の伝達

住民に災害の危険性を知らせ、避難行動を促す情報である避難情報(警戒レベル)は、どのようにして「住民」に伝えていると思いますか?
避難情報(警戒レベル)を発令された場合、自治体の防災担当者は防災行政無線や広報車などを使って、「住民」に伝えます。
さらに「住民」はLテレビやラジオ、インターネットなどの媒体からも、同じ情報を受け取ることができます。
つまり、迅速かつ漏れなく住民に伝える必要があるため、複数の伝達手段が用意されているのです。


「Lアラート」の存在意義

テレビやラジオ、インターネットなどの媒体は、どのようにして自治体(市町村長)が発令する避難情報(警戒レベル)知ることができるのでしょうか?

「Lアラート」がない場合、各テレビ局や各ラジオ局、インターネットを使ったサービス事業者などは、各自治体に電話で問い合わせを行い、情報を入手していました。
これでは、多くの人員を動員して手間をかけるだけでなく、取材を受ける自治体側でも防災行政無線や広報車などを使って周知するだけにとどまらず、メディアからの電話対応もしなければならず、災害の危険度が高まるにつれ、双方の現場が混乱する状況が発生していました。
こういった問題を解決したのが「Lアラート」で、自治体(全国約1,700市町村)から発信される災害関連情報等を集約し、集約した情報を各テレビ局や各ラジオ局、インターネット等の多様なメディアに迅速に情報伝達を行うシステムが誕生したのです。
つまり、自治体(全国約1,700市町村)では、テレビやラジオ、インターネットなどの媒体に避難情報(警戒レベル)を伝えるには、「Lアラート」に配信するだけで済むようになり、各メディアもまた、「Lアラート」からの配信を受けるだけで必要な情報を得られるようなりました。


「Lアラート」への情報配信と情報受信のシステムについて

「Lアラート」への情報の配信について

自治体(全国約1,700市町村)は、都道府県が持つ防災システムから避難情報(警戒レベル)等を入力することで、「Lアラート」に情報が流れるようになっています。
つまり、都道府県防災システムが「Lアラート」に情報を送信する仕組みが構築されているのです。
また、自治体(全国約1,700市町村)以外のライフライン事業者(電気、ガス)も「Lアラート」に接続することで、「Lアラート」に情報を送信することができます。

「Lアラート」からの情報受信と情報利用の仕方について

各メディア側は、「Lアラート」からの情報を受け取る仕組みを構築することで、「Lアラート」からの情報を受信することができます。
さらに各メディア側は、受信した情報をテレビ局ならデータ放送やL字放送に自動反映させたり、ラジオ局ならラジオ放送に自動割り込みする仕組み、インターネット事業者ではWebサイトやスマホアプリに自動反映させるような仕組みを構築することが必要です。

「Lアラート」への情報の配信や「Lアラート」からの情報受信のシステムはどうやるの?

避難情報、避難所情報だけでなく、各公共情報が標準化されたデータフォーマットが用意されています。
また、「システム開発ガイドライン」といった専門的なマニュアルも用意されています。


最後に

積乱雲が帯状に固まって局地的豪雨が降る「線状降水帯」の発生や梅雨前線が停滞などにより、近年、我が国では豪雨災害が激甚化・頻発化し、各地で甚大な被害が発生しています。
こうした状況下で、住民の命を守るための最善の行動を呼びかける避難情報(警戒レベル)を迅速かつ漏れなく住民に伝えることは、ますます必要かつ重要なこととなっています。
その中で「Lアラート」のような「災害情報共有システム」は、これからもなくてはならない基盤として期待されています。